「足がよくつる人」の予防策

flexible sportsman stretching on sports ground
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ようやく九州南部は、梅雨明けが見えてきました。

寝苦しい夜も増え、気温が上昇する中、最近「足がつるなぁ~」という人も多いのではないでしょうか。

一般的には、こむら返りは『冷え』が影響していると言われているので冬季に起こりやすいですが、この時期も多いんです。

特にスポーツをされている方や、疲労が溜まりがちな方、水分不足の方、ご高齢の方は頻繁に起こりがちです。

筋肉がつる原因

「つる」とは筋肉が痙攣した状態です。

筋肉には強い負担がかかった時に損傷を防ぐため、極度な収縮や伸長をセーブする仕組みが備わっています。

セーブする役目を担っているのが「筋紡錘(きんぼうすい)」「腱紡錘(けんぼうすい)ゴルジ腱器官」です。

「筋紡錘」は筋繊維の中にあります。筋肉の伸長程度を感知→脊髄に送る→伸びすぎて断裂しないように「縮め!」と指令出す→筋肉が縮む。

「腱紡錘」は筋肉と腱の境目にあります。腱の伸び具合を感知→脊髄→筋肉を腱ののバランスをとり「縮み過ぎないように!」調整する。

「つる」原因は、何らかの理由で腱紡錘の働き弱まり、筋肉調整のバランスが崩れ、異常な収縮をしてしまうからと言われています。

腱紡錘の誤作動の理由は、はっきり解明されていませんが・・・大きく分けて「筋肉の疲労」「神経のトラブル」、「脱水・ミネラルバランスの崩れ」が原因と言われています。

原因①「筋肉の疲労」

負荷の高い運動が長時間続いて筋肉が疲労すると、つりやすい状態になります。筋肉量や柔軟性の低下も関係します。

特に加齢や運動不足で筋肉が細くなったり硬くなったりすると筋肉が疲労しやすくなるため、年を重ねれば誰でも足がつりやすい状態になると言えます。

原因②「神経のトラブル」:姿勢の崩れ、腰椎の異常でも、足がつりやすくなります。

骨盤の歪み姿勢の崩れにより、筋肉の使い方に偏りができ、体のあちこちがつりやすくなります。

「脊柱管狭窄症」「腰椎椎間板ヘルニア」の場合は、腰痛、こむら返り、足やお尻の痛み、しびれ等の症状が出やすいです。

心当たりがある方は、深刻な状態でないか整形外科で診て頂きましょう。

腰椎の異常(脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア等)につながる骨盤の歪みや姿勢の崩れは、整体で整えることができます。

また病状の改善にも効果があります。

合わせて腰椎の異常を改善するエクササイズをアドバイスさせていただいていますが、

施術後は全身の可動域が改善されているので、エクササイズも効果的に行うことができます。

ふくらはぎだけでなく、筋肉の「つり」を繰り返す方は、つった場所の筋肉が固まってしまっていて普通のマッサージでは取り切れない場合も多いです

姿勢が歪んだ状態で、筋肉に硬結を残したまま運動をするとケガをしやすいので、心当たりのある方は施術をお勧めします。

原因③「ミネラルバランスの崩れ・脱水・熱中症・血行不良・妊娠」

・血流の低下などによって血液の循環が悪くなると、筋肉や神経の機能が低下し、足がつりやすくなります。

・ミネラルは筋肉と神経の連絡に必要で、特に筋肉の動きに関わるマグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウムの血中濃度が異常に低くなりバランスが崩れると、筋肉と神経の連絡にエラーが生じることがあります。

  1. 激しい運動による筋肉疲労。(筋肉を酷使する運動をするとカルシウムが大量に消費される。)
  2. スポーツ、サウナ、高気温による発汗、就寝中の発汗。(大量の汗と共にミネラルも流失。)
  3. 加齢や運動不足による筋肉量の減少。血行不良、新陳代謝の低下。(筋肉に必要なミネラルが充足されない。)
  4. 消化不良や下痢による脱水。(慢性的な脱水症状になりやすい。特にご高齢の方。)
  5. 利尿剤、降圧剤、ホルモン剤などの服用。(体内の水分バランスに影響しミネラルバランスを崩す場合もある。)

一番多いのは「ふくらはぎ」

最も「つり」やすいのは、ふくらはぎです。

  1. 重力に対して姿勢を保つために働く筋肉なので、負担が大きく疲労が溜まりやすい。
  2. 心臓から遠いので、むくみや血行不良が起きやすく、酸素やミネラルなどが不足しやすい。
  3. 冷えやすく、血行不良が起きやすい。(特に冬季)
  4. 就寝中、仰向けの姿勢をとることでつま先が下がり、ふくらはぎの筋肉が収縮しやすくなる。

応急処置

それでも収まらない場合は、

・一旦逆方向に動かしてから再度伸ばす。

・ミネラル入りの水分を摂る。(スポーツドリンク、経口補水液、薄い食塩水等)

・筋膜、筋肉が癒着してできた硬結をゆるめる

ただし、揉んだり指で押したりすると痛む腫れたり内出血が生じている場合は肉離れの可能性もあります。

その場合は、無理に動かさず肉離れの処置をします。(RICE処置:安静(添え木、固定)、冷却(感覚が無くなるくらいまで冷却を繰り返す)、圧迫(腫れそうな部分にパットをあて軽く圧をかけてテーピング)、挙上(患部を心臓より高い位置にあげる)をします。肉離れが発生した現場で、病院を受診するまでの間に行います。)

予防法

 食事以外にコップ7~8杯の水分を摂る。就寝前に必ずコップ1杯の水を飲む。

 膝裏伸ばし、ふくらはぎ伸ばし、波止場のポーズ、かかと上げ、つま先上げ等をする。

 足首~ふくらはぎ~膝の裏までもみ上げる。弾性ストッキングをはく。

 10分程度足を高くして横になるか、足上げ体操をする。

 ゆっくり入浴。レッグウォーマーをはく。足湯。

 就寝中にこむら返りをしやすい方には、足先が伸びてふくらはぎが縮まないように、テーピングする方法もあります。

 足がつる人には、筋肉の緊張を緩める働きのある漢方薬が有効です。芍薬甘草湯は内科や産婦人科などの診療科で広く処方されています。漢方薬ですが、「即効性」のあることが特徴で、服用から5分ほどで症状が治まる場合もあります。ただし、継続的な服用や、服用量・年齢・持病によっては、まれに血圧上昇・むくみなどの副作用が現れることもあるので、用法・用量を守りましょう。

繰り返す場合は、病院へ

「つる」症状を引き起こす深刻な病気があります。

「狭心症」「心筋梗塞」「脳梗塞」です。

(狭心症、心筋梗塞:こむら返りを頻繁におこしたり、胸部に圧迫感や痛みがおこる。)

(脳梗塞:一過性脳虚血発作による手足のしびれ、こむら返りを頻繫におこす場合がある。)

その他、糖尿病、動脈硬化、甲状腺の異常、抹消動脈疾患でもつりやすくなります。

「つる」回数が多かったり、慢性化している場合は、早めに病院の受診をお勧めします。

予防食品

筋肉のつりやこむら返りを防ぐには、筋肉の収縮に必要なマグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウムが不足しないよう摂ることが大切です

マグネシウムが摂れるお勧め食材:スルメ、煮干し、イワシ、大豆食品、雑穀類、海藻類、ナッツ

カルシウム 〃 :乳製品、大豆食品、小松菜等の青菜、ケール(青汁)、煮干し(加工食品はリンが多くカルシウムが流れてしまうので避ける)

カリウム 〃 :果物、野菜、海藻類、イモ類、豆類(腎臓病の人は医師に相談を)

*ミネラルの吸収率を上げる「クエン酸」:レモンなどの柑橘類、梅干し、キウイフルーツ

好みに合ったものを常備して、毎日摂るようにすると良いですね。

うっかり水分不足💦を防ぐ方法

水分は心がけて摂らないと、特に今からの季節は不足しがちです。

水分不足になると、つりやすくなるばかりか色々不都合が出はじめ、良いことは何もありません。(参考:「ペットボトル1本分、余分に水を飲んで、調子が良くなりました♪」)

*yell*のお客様がされていて、「なるほど!いい方法だなぁー!」と思った方法があります。

「オシャレな目盛り(タイムマーカー)付きの透明なボトル(1ℓ)を持ち歩いて、目盛りの時刻になったら飲む」という方法です。

透明ボトルは、押しのエクササイズインストラクターYouTuberの方が愛用されているものだそうです。

お気に入りの小物を使うと、モチベーションもアップしますよね(*’▽’)。

じっとしていても水分がどんどん蒸散する季節になりました。

しっかり水を飲み、必要なミネラルを摂って、元気にお過ごしください。

もしも不調のサインが出たら、早めに対処にいらしてください。

それではまた。お健やかに。

(参考:「足がよくつる人のおたすけBOOK」/出沢明 著 、NHK「今日の健康 シリーズ家庭の医学 どうする?気になる症状 「足がつる」)